「休職すればワーホリに行けるはず」
そう思い込んで、本記事を開いた人もいるかもしれません。私自身、市役所職員として4年間勤務し、有給消化ゼロ、休日出勤が常態化した職場で働いていました。29歳のとき、ワーホリの年齢制限まで残り数か月という状況に気づき、数日のうちに退職を決めています。
本記事では、公務員の休職制度である自己啓発等休業の対象範囲や在職期間の要件について解説します。なぜワーホリが対象活動に含まれないのか、休職に近づけるための選択肢についても書きました。休職中の給与や共済組合、住民税の扱い、私自身が休職を検討しなかった実体験も解説します。
「休職」と「退職」、どちらが向いているのか迷っている人は、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は制度情報と、筆者が2017〜2019年当時に体験したワーキングホリデーの記録をもとに構成しています。個別の適用可否や手続きの詳細は、所属する自治体や共済組合、人事担当部署に直接ご確認ください。
今のあなたに近いのはどれですか?

| あなたの状況 | 読むべきセクション |
|---|---|
| 制度があるかどうかもまだわからず、とりあえず調べている | 自己啓発等休業とは何か |
| 「休職すればワーホリに行けるはず」だと思っている | なぜワーホリのための休職は成立しないのか |
| 休職中の生活費・社会保険が不安 | 休職中のお金の話 |
| すでに退職を決めていて迷いはない | 私は休職を検討すらできなかった理由へ |
| 休職と退職、どちらが向いているか知りたい | 自己診断チェックリストへ |
自己啓発等休業とは何か

「公務員 休職」を調べると出てくるのが、自己啓発等休業という制度です。下記の3点から、制度の輪郭を押さえていきます。
- 誰が使える制度なのか
- 何のための制度なのか
- 自治体によって何が変わるのか
誰が使える制度なのか
自己啓発等休業は、国家公務員法・地方公務員法に基づいて設けられている、正式な休業制度です。私が働いていたような市役所職員も含め、地方公務員であれば地方公務員法の枠組みの対象になります。対象となるのは、在職期間が2年以上の常勤職員です。1〜2年目で自己啓発等休業を使うことは想定されていません。
私が退職を決めた29歳の時点では、市役所に4年間勤務していたので、在職期間の条件自体は満たしていました。身分の扱いも重要なポイントです。休業中は「職員としての身分は保有したまま、職務に従事しない」という状態です。退職とは違い、籍を置いたまま一定期間離れられる制度として設計されています。
※在職期間の要件は地方公務員法本体には明記されておらず、各自治体の条例に委任されています。多くの自治体が「2年以上」を採用していますが、栃木県のように「5年以上」と定める自治体もあります。ご自身の自治体の条例を確認しましょう。
何のための制度なのか

自己啓発等休業が想定している活動は、法律上、下記の2種類に限定されます。
| 活動区分 | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 大学等での課程履修 | 国内外の大学院を含む、大学等での課程履修 | 原則2年(大学院等で必要と認められる場合は3年) |
| 国際貢献活動 | 独立行政法人国際協力機構(JICA)による青年海外協力隊・シニア海外協力隊・日系社会協力隊などへの参加 | 3年 |
「大学院で学び直す」か、「JICAの国際協力活動に参加する」か。制度が想定しているのは、基本的に2パターンだけです。旅行や語学学校、ワーキングホリデーといった活動は当てはまりません。
自治体によって何が変わるのか
自己啓発等休業の根拠となる法律は国レベルで定められていますが、運用は自治体ごとの条例に委ねられています。すべての自治体を調べたわけではありませんが、独自の条例を制定している自治体があることは確認できています。期間の延長条件や申請の手続きといった細部は、自治体によって差が出るので注意しましょう。
ただし、対象となる活動の範囲制度は国の法律で決まっています。自治体ごとの条例で大きく変わるものではないと考えておきましょう。
※制度の詳細は法改正や自治体の条例改定により変更される場合があります。最新情報は所属先の人事担当部署に必ずご確認ください。
なぜ「ワーホリのための休職」は成立しないのか

「休職すればワーホリに行けるはず」という思い込みについて、下記の2点から検証します。
- ワーホリが対象活動に含まれない理由
- 休職に近づけるための現実的な道
ワーホリが対象活動に含まれない理由
自己啓発等休業の対象活動は「大学院等での修学」か「JICA系の国際貢献活動」のどちらかに限定されます。ワーキングホリデーは、現地で働きながら生活・旅行をする制度です。正規の大学院課程への在籍でも、JICAの派遣事業でもありません。ワーホリは、法律が想定する2つの枠組みのどちらにも当てはまりません。
「休職してワーホリに行った」という体験談をネット上で見かけます。しかし、自己啓発等休業なのか、例外的な扱いなのかは、記事によって書かれ方が曖昧です。国の制度として万人に保障された権利ではないという点には注意しましょう。
休職に近づけるための現実的な道
制度上「ワーホリのための休職」という枠組みは存在しませんが、近づける道が完全にゼロではありません。下記のような選択肢が考えられます。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 正規課程への在籍 | 現地の大学・大学院や、学位・資格取得を伴う正規の課程に実際に在籍する形にできないか検討する (学位取得を伴わない短期の語学コースは対象外となるのが一般的) |
| 独自の休業・休暇制度の確認 | 自己啓発等休業以外に、所属先の条例に独自の休業・休暇制度がないか確認する |
| 短期渡航の検討 | 有給休暇や、私事に関する休暇制度と組み合わせて、短期間だけでも渡航できないか検討する |
いずれの道も、標準的なワーホリのスタイルとは異なります。制度に頼るよりも、自分の所属先の人事担当部署に、正直に希望を伝えて相談してみることが、最初の1歩です。
※上記は制度上考えられる選択肢の一般的な整理であり、認められるかどうかは所属先の判断によります。
休職中のお金の話——給与・社会保険・住民税はどうなるか

何らかの形で休業が認められた場合に備えて、お金の扱いも整理しておきましょう。下記の3点を解説します。
- 給与は原則ゼロという現実
- 共済組合の継続手続きという選択
- 住民税は待ってくれないという事実
給与は原則ゼロという現実
自己啓発等休業の期間中、給与は支給されません。大学院修学・国際貢献活動のどちらのケースでも共通しています。「休職=一部でも給料が出る」とイメージしている人もいるかもしれませんが、実態は無給が原則です。貯蓄だけで生活費や渡航費用をまかなう必要があります。
休業期間が長くなるほど、経済的な負担は大きくなる点には注意しましょう。私自身、渡航前に貯めていた金額は約100万円でした。休職という形でワーホリを実現しようとしていたら、正直なところ心もとないです。復職後の給与は、活動内容に応じた換算率で勤続期間に算入されます。
退職手当の計算では厳しく、休業期間は原則として勤続年数から全期間除外されます。公務に資する活動と認められた場合のみ、2分の1の除外にとどまる点には注意が必要です。渡航前の資金準備については、下記の記事をご覧ください。
ワーホリにいくら必要?資金調達と貯め方【所持金10ドルの失敗談】
共済組合の継続手続きという選択

休業中であっても職員としての身分は保有したままです。公務員共済組合の被保険者資格についても、継続する扱いになるケースが一般的とされています。ただし、共済組合ごとの規定による差が大きく、明確に確認できたわけではありません。無給期間中の保険料の納め方についても、別の方法での納付が必要になる場合があります。
- 共済組合のまま、保険料を振り込む
- 一時的に国民健康保険へ切り替える
実際にどちらが有利かは、共済組合の規定や本人の状況によって変わります。休業を検討する段階で、共済組合の窓口に直接確認しておきましょう。
住民税は待ってくれないという事実
給与が止まっても、住民税の納付義務はなくなりません。住民税は前年の所得に対して課税されるため、休業中で収入がなくても、前年分の税額を納める必要があります。普通徴収に切り替えるか、休業前に相談しておくなど、事前の準備が欠かせません。休業を考えるタイミングで、早めに税務担当部署に確認しておくと安心です。
※実際の金額や手続きは個人の状況・所属先によって異なるため、共済組合・税務担当部署に直接ご確認ください。
私は休職を検討すらしなかった【29歳・年齢制限に迫られた実体験】

制度の話と関係なく、私自身の体験をお話しします。下記の2点にまとめました。
- 有給ゼロの4年間、年齢制限に追われた決断
- 今の私が、当時の自分に伝えたいこと
有給ゼロの4年間、年齢制限に追われた決断
市役所で働いた4年間、有給消化ゼロ、休日出勤が常態化した職場で過ごしました。29歳のとき、ワーホリの年齢制限まで残り数か月という状況に気づき、数日のうちに退職を決めています。決断に至った詳しい経緯については、下記の記事をご覧ください。
公務員を辞めて海外に出た話【ワーホリという選択肢が私を救った】
今の私が、当時の自分に伝えたいこと
当時の私は、休職という言葉さえ思い浮かびませんでした。転職するか、ワーホリに行くか。頭の中にあったのは、2択だけでした。当時の私が自己啓発等休業について知っていたとしても、休業しなかったでしょう。正直なところ、少しほっとした部分もあります。
「知っていれば違う道があったのに」と悔やむ必要がないと、はっきりしたからです。ただ、退職を決めたときの感情は、今でもはっきり覚えています。人事担当の上司に「無責任だ」と怒鳴られ、職場や家族を裏切っているような感覚が、頭の片隅にありました。「失敗したら、何も残らないのではないか」という恐れも、正直ありました。
それでも動いたのは、ワーホリには年齢制限という締め切りがあったからです。同じように悩んでいる人に伝えたいのは、休職を検討できること自体が、恵まれているということです。ただし、検討の先で「制度上、ワーホリは対象外だった」という結論に行き着く可能性も、知っておいてほしいと思います。
「休職」と「退職」、あなたに向いているのはどちら?

下記の2パターンから、自分に近いほうを確認してみてください。
- こんな人は、休職を選択肢に入れていい
- こんな人は、退職も検討していい
こんな人は、休職を選択肢に入れていい
下記に当てはまる人は、退職ではなく休職の道を探ってみましょう。
- やりたいことが、国際協力活動に近い
- 在職期間がすでに2年を超えている
- 無給期間を、貯蓄だけで乗り切れる
- 復職前提で、職場に戻りたい
チェックが多いほど、自己啓発等休業という制度の枠組みに実際に当てはめられる可能性があります。ただし対象になるかどうかの最終判断は所属先次第です。動きだす前に、人事担当部署へ相談してください。
こんな人は、退職も検討していい
下記に当てはまる人は、退職を含めて考えたほうが現実的かもしれません。
- やりたいことが、ワーホリに近い
- 年齢制限など、時間的な制約が迫っている
- 無給期間を支えられるだけの貯蓄がない
- 休業してまで、職場に戻りたくない
私自身は、後者に近い状態でした。制度を知らなかったことが結果を変えなかったのは、そもそも当てはまる制度がなかったからです。どちらが正解ということはありません。自分の状況と照らし合わせて、判断材料の1つにしてもらえればと思います。
まとめ

自己啓発等休業という制度は存在しますが、大学院での修学か、JICA系の国際貢献活動に限られています。ワーホリは、どちらにも当てはまりません。「休職すればワーホリに行ける」というイメージは、制度の実態とはずれているのが現実です。私自身は、休職という言葉すら思い浮かばないまま、数日で退職を決めました。
今振り返っても、状況は変わらなかっただろうと感じます。だからといって、退職だけが正解というわけでもありません。大学院や国際協力活動という形であれば、休職という道も現実的な選択肢になり得ます。大切なのは、自分がやりたいことが、どちらの枠組みに近いのかを整理することです。
退職を決断をするなら、後悔のない準備を進めてほしいと思います。筆者のプロフィールについては、下記もあわせてご覧ください。
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【免責事項】
本記事は、自己啓発等休業に関する一般的な制度情報と、筆者が2017〜2019年当時に個人的に体験したワーキングホリデーの記録・判断をもとに構成しています。
◆ 本記事は法律相談ではありません
休業制度に関する記述は、公表されている制度情報をもとにした一般的な整理です。個別の適用可否や手続きの詳細は、所属する自治体・省庁の条例、共済組合、人事担当部署に必ず直接ご確認ください。
◆ 本記事はキャリア・退職に関するアドバイスではありません
退職や休職の判断に関する記述は、筆者個人の経験と考えです。重要な決断は、ご自身の状況を踏まえ、信頼できる人や専門家にもご相談のうえ判断してください。
◆ 本記事の情報に基づく行動について
筆者および当サイトは一切の責任を負いかねます。


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