オーストラリアのスーパーアニュエーション、7年間知らずに放置していた話【帰国後でも確認可能】

「オーストラリアのワーホリ中、給与明細をきちんと確認していましたか?」

私は2018年、ブリスベンとメルボルンでファーム労働をしていました。時給換算で4ドルという日もあり、次の仕事を探すことと生活費のやりくりだけで精一杯でした。給与から何が天引きされ、何が積み立てられているかなど、確認する余裕も発想もなかったのです。

帰国して7年が経った今年、「スーパーアニュエーション」という制度の存在を知りました。オーストラリアで働いた人には、退職年金として積み立てられていたお金があります。帰国後でも請求できる可能性があるのです。本記事では、スーパーアニュエーションについて調べなおしました。

税率の現実や、帰国後何年も経っていても確認する価値があるのかどうか、私が調べた範囲でお伝えします。スーパーアニュエーションについて知らなかった人は、ぜひ最後までご覧ください。

※本記事は税理士や専門家による助言ではなく、筆者が個人的に調べた情報をまとめたものです。制度の詳細や最新情報は、ATO公式サイトでご確認ください。


目次

私はスーパーアニュエーションを知りませんでした

本記事を書くに至った経緯について、下記の2点からお話しします。

  • 給与明細も見ずに働いていた当時の状況
  • 本記事を書いている理由

給与明細も見ずに、ブリスベン・メルボルンで働いていた

私は2018年10月、オーストラリアのブリスベンでファーム労働を始めました。1日8時間働いて手取り30ドル、時給換算で約4ドルという日もあったのです。3日で見切りをつけてメルボルンに移動しましたが、週3日・1日3時間しか仕事がなく、17日間の合計収入はわずか107ドルでした。詳しい経緯は下記の記事にまとめています。

オーストラリアのファーム、時給4ドルだった17日間【実録】

正直なところ、あの頃の私に給与明細を細かく確認する余裕はありませんでした。次の仕事を探すこと、家賃と食費を切り詰めることで頭がいっぱいだったのです。雇用主が給与から何を天引きし、何を積み立てているかなど、考える発想すらありませんでした。

オーストラリアでは、雇用主が給与とは別に「スーパーアニュエーション」という退職年金を積み立てる義務があります。私自身、スーパーアニュエーションの存在を、渡航中も、帰国した2019年も知らないまま過ごしていました。

本記事を書いている理由

帰国して7年が経った今年、たまたま「スーパーアニュエーション」という単語を見かけたのです。スーパーアニュエーションは、帰国後に積立金を請求できる可能性があるという制度だとわかりました。正直、「もっと早く知っていれば」という後悔が湧いてきました。本記事は、私が実際に請求してみた体験談ではありません。

今回改めて制度を調べ直し、わかったことをまとめたものです。「スーパーアニュエーションがあったなんて知らなかった」というワーホリ経験者は、決して少なくないはずです。本記事が自分の状況を確認するきっかけになればと思い、調査レポートとして正直に書くことにしました。


スーパーアニュエーションとは何か【タックスリターンとは別の制度】

スーパーアニュエーションの基本について、下記の3点を解説します。

  • スーパーアニュエーションの基本
  • タックスリターンとの違い
  • なぜ知らないワーホリ経験者が多いのか

スーパーアニュエーションの基本

スーパーアニュエーションとは、オーストラリアで雇用主に義務付けられている退職年金の積立制度です。給与とは別に、雇用主が従業員の給与の一定割合を年金基金に積み立てます。従業員自身が申請したり手続きしたりしなくても、働いていれば自動的に積み立てられていく仕組みです。

正社員だけでなく、ワーキングホリデービザで働く一時滞在者も対象になります。ワーホリ経験者にも、本来は積み立てられていたはずのお金があるということです。ビザが失効した後は、「Departing Australia Superannuation Payment(DASP)」で請求できます。

タックスリターンとの違い

スーパーアニュエーションとタックスリターンは、混同されやすいものの別の制度です。タックスリターンは、納めすぎた所得税の還付を申請する手続きです。タックスリターンの詳細は、下記の記事をご覧ください。

ワーホリのタックスリターン 完全ガイド【オーストラリア・NZ】

スーパーアニュエーションは、雇用主が積み立てた退職年金を、オーストラリアを離れた後に受け取る制度です。管轄も申請先も異なるため、タックスリターンを申請したからスーパーアニュエーションも受け取れる、というわけではありません。

なぜ知らないワーホリ経験者が多いのか

私のように、スーパーアニュエーションを知らないまま帰国する人は少なくないはずです。理由はいくつか考えられます。

理由内容
雇用の短期性・流動性ファームなど雇用が短期間・流動的で、給与明細をじっくり確認する余裕がない
説明資料が英語制度の説明資料が英語で、雇用主から積極的に説明されるとは限らない
情報収集での扱いの少なさ「税金」や「保険」に比べて、渡航前の情報収集で扱われる機会が少ない

私自身も、ブリスベンとメルボルンで働いていた当時は、次の仕事を探すことと生活費のやりくりで精一杯でした。給与明細に何が書かれているかを確認する発想すらなかったのです。スーパーアニュエーションを知らないと、積み立てたお金が放置され続けることになります。


帰国後でも受け取れるのか【調べてわかったこと】

帰国後の受け取り可否について、下記の4点を解説します。

  • ATO預かりになる仕組み
  • ATO預かり後でも請求できるのか
  • 税率の現実
  • 確認する価値はあるのか

ATO預かりになる仕組み

オーストラリアを離れてから6か月以上が経過し、ビザが失効した場合、退職年金基金は積立金をATOに移管されます。帰国してから放置していると、お金の預け先が年金基金からATOに移る、ということです。私のように帰国後何年も経っている場合、積立金はATOに移っています。

「もう請求できないのでは」と思いましたが、必ずしもそうではないことがわかりました。

Departing Australia superannuation payment(DASP)|Australian Taxation Office

ATO預かり後でも請求できるのか

年金基金からATOに資金が移管された後も、「ATO-held superannuation money」として、別の申請書式を使って請求できます。私が確認した範囲では、明確な請求期限は見当たりませんでした。ただし、私が公式ページを確認した時点での情報であり、制度は変更される可能性があります。

何年前の分でも必ず請求できると断定するものではありません。実際に該当しそうな人は、必ず下記のATO公式サイトで最新の条件をご確認ください。

Departing Australia superannuation payment(DASP)|Australian Taxation Office

税率の現実

DASPとして受け取る際の税率は、ビザの種類によって異なります。

ビザの区分非課税部分課税対象部分(課税済み要素)課税対象部分(未課税要素)
ワーキングホリデービザ(417・462および関連するブリッジングビザ)0%65%65%
ワーホリ以外の滞在ビザ0%35%45%

多くのワーホリ経験者が該当するのは前者です。積み立てられていた金額の3割程度しか手元に残らない計算になります。「かなり戻ってくる」という期待を持って調べ始めると、税率の高さに拍子抜けするかもしれません。

確認する価値はあるのか

税率が高いと知ると、「じゃあ確認する意味はないのでは」と思うかもしれません。正直なところ、積立額が少なければ、手元に残る金額もわずかになります。私のように、ファームで低賃金・不安定な働き方が中心だった場合、大きな金額は期待しない方がいいでしょう。しかし、確認する価値はあると私は考えています。

何もしなければ0円ですが、確認するだけならお金はかかりません。長期間まじめに働いていた人や、複数の雇用主のもとで長く働いていた人ほど、積立額が大きくなっている可能性があります。まずは自分の状況を確認してみることが、損をしないための第1歩です。

次からは「実際に何から手をつければいいか」を、私が調べた範囲でお伝えします。


自分に心当たりがあるか確認する方法【今からできること】

確認方法について、下記の3点を解説します。

  • 当時の給与明細・雇用主情報を探す
  • myGovでATOサービスと連携する
  • 難しければ代行サービスに相談する

当時の給与明細・雇用主情報を探す

当時の給与明細やタックスファイルナンバー(TFN)、雇用主の情報を探すことから始めましょう。何年も前の情報だからと諦めず、手元に何が残っているかを確認してみてください。

  • 当時の給与明細
  • タックスファイルナンバー(TFN)の控え
  • 雇用主の会社名・ABNがわかる書類

私自身、ブリスベンとメルボルンそれぞれの雇用主から届いていた給与明細のメールが残っていました。メールやクラウドストレージ、当時使っていた口座の記録などに、手がかりが残っている可能性があります。

myGovでATOサービスと連携して確認する

オーストラリアでタックスファイルナンバーを取得していた人は、myGovアカウントを作成しているはずです。ATOのオンラインサービスと連携させることで、自分名義の年金情報を確認可能です。タックスリターンの申請でmyGovを使ったことがある人は、同じ仕組みの中で確認できます。

操作手順やメニューの名称は、サイトのリニューアルなどで変更される場合もあるので注意してください。実際に確認・申請する際は、下記のATO公式サイトの案内に沿って進めることをおすすめします。

Departing Australia superannuation payment(DASP)|Australian Taxation Office

難しければ代行サービスに相談する

手続きに不安がある人や、当時の情報が残っていない人は、代行サービスやエージェントに相談する方法もあります。手数料はかかりますが、自分で調べる手間を省けるのはメリットです。タックスリターンを代行業者に依頼していた人は、ついでに相談してみるとよいでしょう。

私自身は当時、留学エージェントを利用していました。留学エージェントを比較検討した際の記事は下記にまとめています。

留学エージェント5社比較【ワーホリで後悔しない選び方】


自己診断:あなたはまだ間に合う可能性があります

下記のパターンから、今のご自身の状況に近いものを確認してみてください。

すでに帰国済みで、当時オーストラリアで就労していた人へ

  • スーパーアニュエーションを知らなかった
  • 給与明細を確認せずに働いていた
  • 「何年も前だから今更無理だろう」と思っている

上記に当てはまる人は、「自分に心当たりがあるか確認する方法」を参考に、当時の情報を探すところから始めてみましょう。

まだワーホリ中、これから渡航する人へ

  • スーパーアニュエーションを知らなかった
  • 給与明細をあまり確認していない
  • 帰国後の手続きについて調べたことがない

上記の場合は、出発前のこのタイミングで制度を知っておくだけで、帰国時にスムーズに動けます。当時の給与明細やTFNの情報は、オーストラリアにいる間に整理しておくことをおすすめします。


まとめ

オーストラリアのスーパーアニュエーションは、私自身、渡航中も帰国後も知らなかった制度でした。税率65%という現実を知ると、大きな期待は禁物ですが、確認すること自体にお金はかかりません。私と同じように、スーパーアニュエーションを知らずに帰国した人は、自分の状況を確認してみるのをおすすめします。

タックスリターンについては、下記の記事もあわせてご覧ください。

ワーホリのタックスリターンを申請しないとどうなる?【AU・NZ別リスクを解説】

これから渡航準備を進める人は、資金計画についての記事も参考にしてください。

ワーホリにいくら必要?資金調達と貯め方【所持金10ドルの失敗談】

本記事が、スーパーアニュエーションを知らずにいた人の気づきのきっかけになれば嬉しいです。


【免責事項】

本記事は、筆者が2017年〜2019年に個人的に体験したワーキングホリデーの記録と、一般に公開されている情報をもとに構成しています。

◆ 本記事は金融・税務アドバイスではありません

  • 記載されている内容は、筆者個人が調べた範囲の情報であり、税理士や専門家による助言ではありません。
  • スーパーアニュエーションの受給資格・金額・税率は、個人の状況(就労期間、雇用形態、ビザの種類など)によって大きく異なります。

◆ 制度・税率・手続きに関する情報について

  • 記事中で紹介した請求期限の有無、税率、手続き方法などの情報は、本記事執筆時点でATO公式サイト等をもとに確認したものです。制度は変更される可能性があるため、実際に手続きを検討する際は、必ずオーストラリア税務当局(ATO)公式サイトで最新情報をご確認ください。
  • 明確な請求期限が「見当たらなかった」という記述は、筆者が確認した時点での情報で、期限が存在しないことを保証するものではありません。

◆ 私自身の体験について

  • 筆者はこの記事の執筆時点で、実際にスーパーアニュエーションの請求手続きを行っていません。本記事は請求の体験談ではなく、制度を調べた結果をまとめた記録です。

◆ 本記事の情報に基づく行動について

  • 本記事の情報に基づいて生じたいかなる結果についても、筆者および当サイトは一切の責任を負いかねます。
  • 個別の状況については、必ず公式情報またはオーストラリアの税務・年金の専門家にご確認ください。
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