「ワーホリ前に住民票を抜くべきか、抜かないべきか」——2017年、地方公務員を退職してワーホリを決めたとき、私も同じ疑問にぶつかりました。ネットで調べても賛否両論あり、年金や保険が面倒なことになるのではという不安もあって、なかなか結論を出せませんでした。
私は住民票を抜いて渡航し、今振り返っても「抜いておいてよかった」と感じています。今の保険料水準で計算すると年間約21万円分の負担を避けられた計算になります。収入が不安定だったワーホリ期間中の資金繰りにおいて助けられました。
本記事では住民票を抜いてワーホリに出た私の体験をもとに、住民票を「抜く」「抜かない」について解説します。国民年金・国民健康保険の扱いがどう変わるのか、メリット・デメリット、帰国後に必要な手続きについても書きました。渡航準備中で住民票の扱いに迷っている人は、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は私個人の2017年当時の体験と、2026年8月時点で確認できた公的機関の情報をもとに書いています。国民年金・国民健康保険の扱いは個人の状況によって異なります。実際の手続きは必ず日本年金機構およびお住まいの市区町村の窓口で最新情報をご確認ください。
ワーホリ前に住民票を抜きました

住民票を抜くかどうかで悩んだ経緯と、実際に抜いてみてどうだったかについて、下記の2点からお話しします。
- 「抜く」「抜かない」で迷ったこと
- 抜いて良かったと感じている理由
「抜く」「抜かない」で迷ったこと
2017年、地方公務員を4年間勤めたのち退職し、ワーホリを決めたときにつまずいたのが住民票の扱いでした。周りにワーホリ経験者がおらず、インターネットで調べても「抜いたほうがいい」「抜かないほうがいい」という意見が両方見つかったのです。「年金や保険が面倒なことになるのでは」といった不安もあり、結論を出せずにいました。
住民票を残したまま渡航する人もいれば、退職を機に拠点を移すつもりで抜く人もいます。私の場合、退職して収入がなくなることから、住民票を抜いて出国しました。海外転出届を役所に提出し、国民健康保険の脱退手続きも同時に済ませました。
抜いて良かったと感じている理由
結論から言うと、住民票を抜いておいて良かったと感じています。理由は、収入が不安定だったワーホリ期間中の支出を減らせたからです。住民票を抜いたことで国民年金の加入義務がなくなり、国民健康保険も脱退したため、保険料を払わずに済みました。今の国民年金保険料で計算すると、1年間で約21万円の負担が発生する計算になります。
当時の私は資金に余裕がなかったため、支出が発生しなかったのは助かりました。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 国民年金保険料(自分で払う場合) | 月17,920円(令和8年度水準) |
| 国民健康保険料 | 自治体や前年の所得によって金額が変わる |
住民票を抜く決断が固定費を減らすことにつながっていたのだと、帰国後に振り返って気づきました。ただし支出面だけを見た場合の話で、将来受け取る年金額には多少の影響がある点には注意してください。
住民票を「抜く」「抜かない」で何が変わるのか

住民票を抜くかどうかは、国民年金・国民健康保険の扱いに直結します。何がどう変わるのか、下記の3点で整理します。
- 住民票を抜く=海外転出届を出すと
- 国民年金・国民健康保険の扱いが変わる
- 抜かずに残すという選択肢もある
住民票を抜く=海外転出届を出す
住民票を「抜く」とは、市区町村役場に「海外転出届」を提出する手続きのことです。私は渡航が決まったあと、退職の手続きと並行して、住んでいた自治体の窓口で海外転出届を提出しました。手続き自体は数十分程度で終わり、難しいものではありません。
窓口で国民健康保険の脱退手続きも案内されたため、同じタイミングでに済ませられました。「個人番号カード国外継続利用申請書」を提出しておけば、転出後もマイナンバーカードを使えます。マイナンバーカードを持っている人は、窓口に相談しておきましょう。必要な持ち物や手続きの詳細は自治体によって多少異なる可能性があります。
渡航日が決まっている人は、出発の1〜2週間前を目安に、事前に窓口へ確認しておくと安心です。
マイナンバーカードを国外で利用する|マイナンバーカード総合サイト(公式)
国民年金・国民健康保険の扱いが変わる

住民票を抜くと、国民年金・国民健康保険の両方で加入義務がなくなります。住民票がある20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金に加入する義務があります。しかし、海外に転出すると義務自体がなくなるのが国民年金の制度です。国民健康保険も同様に、住民登録がある人が対象の制度のため、住民票を抜くと資格を失います。
| 制度 | 住民票を抜いた場合の扱い |
|---|---|
| 国民年金 | 加入義務がなくなる(払う・払わないを選べる立場になる) |
| 国民健康保険 | 資格を自動的に失う(別途、脱退の届出が必要) |
住民票を「抜く」という手続きが、年金・保険のすべてに影響する点には注意しましょう。
抜かずに残すという選択肢もある
住民票を抜かずに渡航する人もいます。たとえば滞在期間が短く、生活の拠点は日本に残したままにしておきたい場合や、実家の家族の扶養に入ったままにしておきたい場合などです。短期滞在であれば住民票を残すという判断も一般的な選択肢の1つです。
ただし住民票を残す場合、国民年金・国民健康保険とも加入義務や保険料の支払いは継続します。「抜かない=手続きが何もいらない」というわけではありません。語学留学と組み合わせて数か月程度で帰国する予定がある人ほど、住民票を残すのも検討できます。
国民年金はどうする?【住民票を抜いた場合の選択肢】

住民票を抜いて国民年金の加入義務がなくなった場合、2つの選択肢が考えられます。私自身の選択もあわせて、下記の3点で解説します。
- 選択肢①:何もせず資格を喪失する
- 選択肢②:海外任意加入で払い続ける
- 住民票を残す場合は、免除・猶予制度がある
選択肢①:何もせず資格を喪失する
私が実際に選んだのは、「資格喪失」でした。住民票を抜いて出国したあと、国民年金の保険料は払わないまま、ワーホリ期間を過ごしました。「将来の年金が減ってしまうのでは」と不安もありましたが、制度上ペナルティにはあたりません。
資格喪失を選んだ場合は「年金を受け取るための資格期間には算入されるが、老齢基礎年金額には反映されない」とされています。つまり、将来もらえる年金の受給資格が失われるわけではありません、資格損失した期間分だけ将来の年金額がわずかに少なくなるのが実態です。数十年におよぶ加入期間の中の1〜2年であれば、影響はごくわずかです。
収入が不安定な時期に無理に払い続けるより、私は資格喪失を選んでで良かったと感じています。
選択肢②:海外任意加入で払い続ける

もう1つの選択肢が「海外任意加入」です。海外に転出したあとも国民年金の保険料を任意で払い続ける制度で、対象は20歳以上65歳未満の海外在住の日本人です。海外任意加入を選ぶには、いくつか条件があります。
- 国内協力者を代理人として立てる必要がある
- 口座振替やクレジットカードなどで支払う
- 将来の老齢基礎年金額に反映される
- 障害基礎年金の請求対象にもなる
年金額を減らしたくない人や、障害基礎年金の対象を維持しておきたい人は、海外任意加入を検討する価値があります。家族に協力してもらえる人や、渡航期間が長くなりそうな人は、出発前に検討しておいて損はありません。
住民票を残す場合は、免除・猶予制度がある
住民票を残したまま渡航する場合は、国民年金の「免除・猶予」も検討しましょう。収入が少ない、あるいはない期間については、保険料の支払いが免除・猶予される制度が用意されています。住民票を抜いて資格喪失した場合の「払う・払わない」の選択とは別の話です。
住民票を抜くかどうかを先に決めてから、手続きを調べ始めるのをおすすめします。
国民健康保険はどうする?

国民健康保険において、住民票を抜くかどうかでどうかわるのか。下記の2点で整理します。
- 抜くと資格が終了する
- 抜かない場合は資格が継続する
抜くと資格が終了する
住民票を抜いて海外転出届を提出すると、国民健康保険の資格は自動的に終了します。ただし、資格が終了したあとも別途「脱退」の届出が必要な点には注意が必要です。私も転出届を出したあとで保険証を返却し、脱退の手続きをまとめて済ませました。
窓口では転出届の控えが必要になるケースが多いので、転出の手続きと同時に済ませてしまうのがスムーズです。保険証を返却し忘れたまま出国してしまうと、帰国後にあらためて返却を求められる場合があるので注意しましょう。国民健康保険の手続き方法は自治体ごとに案内ページが用意されています。
出発日が近い場合はお住まいの市区町村のサイトも確認しておくと安心です。
抜かない場合は資格が継続する
住民票を抜かずに渡航する場合は、国民健康保険の資格も継続します。短期の渡航で住民票を残す人は、保険料も引き続き発生します。保険料は自治体や前年の所得によって金額が変わるため一概には言えません。渡航中は日本の医療機関を利用しない期間が続くにもかかわらず保険料だけは発生し続ける点には注意が必要です。
一時帰国の予定がある人や、渡航中も日本の保険証を使う可能性がある人は、資格を継続させておくメリットもあります。自分の渡航期間や状況にあわせて、住民票を抜く場合・残す場合のメリットとデメリットを比較してみてください。
帰国後にやるべきこと【私はすぐ動きました】

帰国後は、出国前とは逆の手続きが必要になります。私自身の経験をもとに、下記の2点で解説します。
- 転入届→国民年金・国民健康保険の順で手続き
- 早めに動くことをおすすめする理由
転入届→国民年金・国民健康保険の順で手続き
私は帰国後、すぐに市役所へ行き、まず転入届を提出しました。転入届を提出後は、隣接する窓口で国民年金と国民健康保険の加入手続きを続けて済ませました。20歳以上60歳未満の人は、帰国すると国民年金への加入が再び義務になるため、手続きが必須です。
国民健康保険についても、自治体によっては前年の所得がなければ「所得ゼロ」として申告できる場合があります。ワーホリ期間中は所得がなかったため、私も窓口で伝えるだけで手続きが完了しました。帰国直後は時差ぼけや荷解きで慌ただしい時期ですが、すぐに役所に行くのをおすすめします。
可能であれば時間に余裕を持って、午前中の早い時間に訪れるのがおすすめです。
早めに動くことをおすすめする理由
帰国後の手続きは、できるだけ早く済ませることをおすすめします。転入届は帰国から14日以内の提出が原則とされているからです。国民年金や国民健康保険の手続きもあわせて済ませるよう案内されるのが一般的です。ただし、窓口の運用や必要書類の細かい部分は自治体によって異なる可能性があります。
正確な内容はお住まいの窓口で確認してください。私は帰国後すぐに動いたことで、保険が使えない空白期間を作らずに済みました。帰国直後は引っ越しや次の仕事探しなどでやることが重なりがちです。しかし、住民票や年金、保険の手続きは、最初の数日でまとめて片付けてしまうのがもっとも負担が少ないです。
手続きを先延ばしにするほど、医療保険が使えない空白期間や年金の未加入期間が延びてしまいます。
自己診断:あなたはどのケースに当てはまる?

下記の3パターンから、今のご自身の状況に近いものを確認してみてください。
これから出国する・住民票を抜く予定の人へ
- 収入が不安定になる期間ができる
- 実家や日本に頼らず身の回りを整理したい
- 保険料負担をできるだけ抑えたい
上記に当てはまる人は、住民票を抜く手続きを、出発の1〜2週間前を目安に済ませておくとスムーズです。あわせて国民健康保険の脱退も同じタイミングで行いましょう。
短期滞在などで住民票を残す人へ
- 渡航期間が数か月程度と短い
- 家族の扶養に入ったままにしておきたい
- 生活の拠点は日本に残しておきたい
上記の場合は、国民年金・国民健康保険とも資格が継続します。収入が少ない期間については、免除・猶予の申請ができないか、お住まいの自治体や年金事務所に相談してみてください。
すでに出国してしまい、手続きをしていない人へ
- 住民票を抜くべきかわからないまま渡航した
- 国民年金・国民健康保険を確認していない
- 帰国後の手続きにも不安がある
上記の場合も、慌てる必要はありません。自分の住民票が今どうなっているか、お住まいの自治体に問い合わせるところから始めてみてください。帰国後の手続きについては、「帰国後にやるべきこと」を参考にしてください。
まとめ

住民票を抜くかどうかは、国民年金・国民健康保険という2つの制度の扱いに直結します。私自身は住民票を抜き、国民年金は資格喪失のまま払わず、国民健康保険は脱退して渡航しました。今振り返っても、収入が不安定な時期の支出を抑えられたと感じています。一方で、住民票を残すことで将来の年金額を減らさない選択肢も考えられます。
自分の渡航期間や状況にあわせて判断することが大切です。タックスリターンやスーパーアニュエーションなど、オーストラリア側の手続きについては、下記の記事もあわせてご覧ください。
ワーホリのタックスリターン 完全ガイド【オーストラリア・NZ】
ワーホリのタックスリターンを申請しないとどうなる?【AU・NZ別リスクを解説】
オーストラリアのスーパーアニュエーション、7年間知らずに放置していた話【帰国後でも確認可能】
これから渡航準備を進める人は、資金計画についての記事も参考にしてください。
ワーホリにいくら必要?資金調達と貯め方【所持金10ドルの失敗談】
本記事が、住民票の扱いに迷っている人の判断材料になれば嬉しいです。
住民票以外にも、銀行口座の解約やタックスリターン、スーパーアニュエーションなど、帰国前後に見落としがちな手続きをまとめたチェックリストも作成しています。あわせてご確認ください。
【免責事項】
本記事は、筆者が2017年に個人的に体験したワーキングホリデー渡航前後の記録と、2026年8月時点で確認できた公的機関の情報をもとに構成しています。
◆ 本記事は法律・税務・社会保険に関する専門的な助言ではありません
- 記載されている内容は、筆者個人が調べた範囲の情報であり、社会保険労務士や税理士など専門家による助言ではありません。
- 国民年金・国民健康保険の扱いは、年齢・家族構成・渡航期間・所得状況などの個人の状況によって異なります。
◆ 制度・金額・手続きに関する情報について
- 記事中で紹介した保険料の金額(月17,920円など)や手続きの期限(14日以内など)は、本記事執筆時点で日本年金機構・各市区町村公式サイト等をもとに確認したものです。制度・金額は年度や自治体によって変更・差異があるため、実際に手続きを検討する際は、必ず日本年金機構およびお住まいの市区町村の窓口で最新情報をご確認ください。
◆ 私自身の体験について
- 本記事で紹介している内容は、筆者個人が2017年に行った手続きの記録であり、すべての人に同じ結果を保証するものではありません。
◆ 本記事の情報に基づく行動について
- 本記事の情報に基づいて生じたいかなる結果についても、筆者および当サイトは一切の責任を負いかねます。
- 個別の状況については、必ず公式情報または年金・社会保険の専門家にご確認ください。


コメント