「人生をやり直したい」と考えたことはありませんか。
私も29歳のとき、同じ言葉で検索していました。地方公務員として4年間働き、大きな失敗も人間関係のトラブルもないのに、「このままでいいのか」という問いが消えませんでした。誰にも本音を話せないまま、有給も取れない毎日を過ごしていたのです。本記事では、公務員として4年間感じ続けた閉塞感の正体について解説します。
やり直す方法として語られる転職や引っ越しについても書きました。私が29歳のときに選んだ「環境ごと変える」という選択について、実体験をもとに解説します。「今のままでいいのか」と迷っている人は、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は私個人の2017年当時の体験をもとに書いています。年齢制限などの最新情報は各公式サイトでご確認ください。
「人生やり直したい」と感じるのは、おかしくない

やり直したいという気持ちについて、下記の3点をお話しします。
- 「やり直したい」は、変化を求める自分の声
- 失敗がなくても、積みあがる閉塞感
- 私が29歳のとき、感じていたこと
「やり直したい」は、変化を求める自分の声
「人生をやり直したい」と感じることは、弱さではありません。現状に対して真剣に向き合っている証拠です。仕事でミスをしたわけでも、人間関係が壊れたわけでもない。「何かが違う」という感覚が積み上がり、「やり直したい」という気持ちが生まれます。
心理学では、理想の自分と現実の自分にズレが生じたとき、ズレを解消しようとする心理が働くとされます(認知的不協和理論)。「やり直したい」という衝動は、ズレを埋め、理想に向かって動こうとするサインです。弱さではなく、変化を求める自分の声なのです。私が市役所に勤めていたころ、「やり直したい」という言葉を自分に使ったことはありません。
ただ、「このままでいいのか」という問いだけが、仕事の合間にふとよぎり続けていました。今思えば、公務員時代に感じた問いが、やり直したいというサインだったのです。
失敗がなくても、積みあがる閉塞感

やり直したいと感じるのは、大きな失敗をしていなくても感じます。私自身、公務員時代に仕事で大きなミスをしたわけではありません。評価が著しく低かったわけでも、職場でいじめにあっていたわけでもありません。ただ、下記のような状況が4年間続きました。
- 有給を1日も取れなかった
- 土日も出勤が続いた
- 定時に帰ると白い目で見られる
- 「このままでいいのか」が消えない
特別な出来事がなくても、小さな閉塞感は少しずつ積み上がります。気づいたときには、「なんとなく息苦しい」という状態が当たり前になっていたのです。毎日の積み重ねで生まれる閉塞感は、「やり直したい」と感じる理由になり得ます。
私が29歳のとき、感じていたこと
仕事から帰ってきて、「仕事辞めたい 公務員」と検索していた夜のことを今でも覚えています。特定の誰かが嫌だったわけではありませんでした。職場の環境がひどすぎたというわけでもありません。「定年まで同じ場所でいいのか」という問いが、積み上がったのです。
「安定しているのだから贅沢な悩みだ」と言われるのがわかっていて、誰にも本音を話せませんでした。家族に話せば心配させます。友人に話しても、状況が違いすぎて伝わりにくい。自分の感情を言えないまま、「安定した職業の人間」として毎日を過ごしていたのです。公務員時代に感じていたのは、「自分の人生をどう歩むか」という根本的な問いでした。
自分への問いが消えなくなったとき、私は行動を起こしました。
閉塞感の正体は「選択肢のなさ」

閉塞感の正体について、下記の2点をお話しします。
- 閉塞感の正体は「逃げ場のない構造」
- 「なんとなく」でも、やり直したい
閉塞感の正体は「逃げ場のない構造」
「人生やり直したい」の正体を突き詰めると、多くの場合「選択肢のなさ」にたどり着きます。「今の場所以外に行き場がない」という構造的な問題がある場合が多いのです。転職も引っ越しも、頭ではわかっていても実行に移せない。実行に移せないのは意志が弱いからではなく、選択肢が見えていないからです。
同じ職場、同じ人間関係が続くと、「ここしかない」という感覚が徐々に強くなります。逃げ場のない環境にいると、意欲がある人でも少しずつ消耗します。「やり直したい」という気持ちが消えないなら、自分が今どんな環境にいるかを考えてみることが大切です。環境が変わらない限り、同じ問いを何度も繰り返してしまいます。
「なんとなく」でも、やり直したい
「やり直したい理由をうまく説明できない」という人もいると思います。私自身、公務員時代に「これが辛い」と言える理由はありませんでした。強いて言えば「なんとなく」としか表現できない感覚でした。「なんとなく」という言葉は、理由が浅いという意味ではありません。複数の小さな違和感が積み重なって、1つの言葉に集約しきれない状態を表しています。
理由が明確でないと「やり直したい」と思ってはいけない、ということはありません。うまく言葉にできないまま、やり直したい気持ちを持ち続けていいのです。
やり直す方法は、1つではない

「やり直したい」への対処法として、よく語られる選択肢を3つ紹介します。気力が湧いたときに、選択肢の1つとして知っておいてください。
- 転職
- 趣味や学び直し、副業
- 引っ越し
転職
「やり直したい」と感じたとき、最初に思い浮かぶ選択肢は転職ではないでしょうか。職場や仕事内容が変わることで、状況が好転する人は多くいます。人間関係や業務内容にストレスの原因がはっきりしている場合、転職は有効な手段です。ただし、転職で変わるのは基本的に職場だけです。
住む場所や生活リズム、プライベートの人間関係の構造は、転職前とほとんど変わりません。「このままでいいのか」という問いの正体が「何のために生きているのか」という問いであれば、転職だけでは解決しないでしょう。
趣味や学び直し、副業
今の生活を維持したまま、新しいことを始めるという方法もあります。趣味を持つ、資格の勉強を始める、副業に挑戦するなど、今の場所にいながら変化を作り出す選択肢です。生活の基盤を変えずに始められる手軽さは大きな利点といえます。一方で、平日の仕事に加えて新しいことを続けるには、相応の気力と時間が必要です。
「始めてみたものの、仕事の忙しさで続かなかった」というケースも珍しくありません。「今いる場所から離れたい」と悩んでいる場合は、効果が限定的です。
引っ越し
住む場所を変えることで、生活圏や日常の景色を変えるという方法です。通勤時間や周辺環境が変わるだけでも、気分が切り替わります。ただし、職場の人間関係や仕事内容は、引っ越しによっては変わりません。「仕事や人間関係をやり直したい」と悩んでいる場合は、別の手段を検討する必要があります。
| 選択肢 | 変わる範囲 | 必要な気力 | 実行のハードル |
|---|---|---|---|
| 転職 | 職場・仕事内容 | 中(決断・準備) | 中 |
| 趣味・学び直し・副業 | 今の生活の中の変化 | 中〜高(継続する力) | 低 |
| 引っ越し | 住む場所・生活圏 | 中(手続き・費用) | 中 |
自分が求めているやり直しの規模と、手段が合っているかどうかが大切です。「なんとなく今の場所から出たい」という感覚なら、3つのどれかで十分です。ただ、私の場合はどれも選びませんでした。次の章で、私が実際に選んだ方法を紹介します。
私が選んだのは「環境ごと変える」という方法

私は環境を変えるという選択をしました。環境を変えた経緯を紹介します。
- 29歳、ワーホリという言葉に出会った夜
- カラスのいない空、見慣れない風景
- やり直しは「リセット」ではなく「再構築」
29歳、ワーホリという言葉に出会った夜
「仕事辞めたい 公務員」と検索していたある夜、ワーキングホリデーに関するページが目に入りました。「海外で1年間、働きながら暮らせる制度」という説明を読んで、半信半疑でした。しかし、実際に仕事を辞めてワーホリに行った人の体験談が目に入ります。気づけば2〜3時間、ワーホリに関する情報を読み続けていたのです。
ワーホリを調べて驚いたのが、年齢制限でした。主な渡航先の年齢条件を整理すると、下記のとおりです。
| 国 | 年齢条件 |
|---|---|
| ニュージーランド | 18〜30歳 |
| オーストラリア | 18〜30歳(日本国籍の場合) |
| カナダ | 18〜35歳 |
| イギリス | 18〜30歳 |
私が申請を検討していたのは原則30歳以下という条件で、当時の私はすでに29歳でした。「今すぐ動かなければ、ワーホリできなくなる」という事実が、退職を決意する後押しになりました。退職時の経緯や、渡航前の不安と向き合った話については、下記の記事に詳しく書いています。
公務員を辞めて海外に出た話【ワーホリという選択肢が私を救った】
※ワーホリの年齢条件は渡航先の国や制度変更によって異なる場合があります。最新情報は各国の公式サイトでご確認ください。
カラスのいない空、見慣れない風景

2017年7月、ニュージーランドのオークランドに着いて驚いたのは、大きな出来事ではありませんでした。横断歩道の渡り方や周りを歩く人たち、見慣れない街並み。空を見上げたとき、カラスがいないことに気づきました。日本ではどこにでもいたはずのカラスが、1羽も見当たらなかったのです。
些細なことですが、「見慣れたものが何もない」という感覚は、思っていた以上に頭を軽くしてくれました。日本にいたときは、当たり前の景色の中で悩み続けました。景色が一新されたことで、悩み自体を脇に置けたのです。大きな決意よりも先に、日常の景色が変わったという事実が、気持ちを切り替えるきっかけになりました。
やり直しは「リセット」ではなく「再構築」
ワーホリに行く前、私は「やり直す=リセットする」というイメージを持っていました。でも実際に環境を変えてみると、やり直すとリセットとは少し違うことがわかりました。過去が消えるわけではありません。公務員として働いた4年間も、自問し続けた夜も、変わりません。変わったのは、経験をどう見るかという視点でした。
環境を変えることで起きたのは、積み上げてきたものを別の角度から見直す「再構築」だったのです。海外にいると、当たり前だと思っていた価値観が絶対的ではないことに気づきます。「手放すことへの恐怖」も、「同世代と比べる視点」も、特定の環境の中で育ったものだと気づきました。
やり直すとは、過去を消すことではなく、今ある自分を別の場所に置いてみることです。渡航後は所持金が10ドルになるまで追い詰められた時期もありました。当時の生活については下記の記事に詳しく書いています。
メルボルンで所持金10ドルにまで追い詰められた1か月サバイバル記録
しかし、ワーホリは誰にでも勧められる選択肢ではありません。仕事を辞め、住み慣れた場所を離れることには、リスクが伴うのも事実です。次の章では、環境を変える・変えないに関わらず、今日からできることを整理します。
今すぐ動けなくても、今日からできること

やり直したいと感じたときに、今日からできることについて下記の3点をお話しします。
- 「今のままでいいのか」を、受け止める
- 小さい選択肢から試す
- 「環境ごと変える」も選択肢に入れる
「今のままでいいのか」を、受け止める
「やり直したい」という気持ちがあったとしても、大きな決断を今すぐする必要はありません。大切なのは、問いを無視したり、押し殺したりしないことです。「贅沢な悩みだ」と自分に言い聞かせて蓋をしてしまうと、閉塞感は形を変えて積み上がり続けます。「このままでいいのか」という問いが浮かぶこと自体は、おかしいことではありません。
焦って何かを変えようとする前に、問いの存在を認めることから始めてみてください。
小さい選択肢から試す
気力が少し出てきたときは、転職や学び直し、引っ越しなど、小さく試せる選択肢から始めるのも1つの方法です。いきなり大きな決断をする必要はありません。求人サイトを眺めてみる、興味のあった講座を調べてみる。小さな1歩でも、「何もしていない」状態から動いたことになります。
選択肢を知っているだけでも、「このままでいるか、辞めるか」という2択で考えずに済みます。
「環境ごと変える」も選択肢に入れる
小さな1歩では足りないと感じる場合は、私のように環境を変えるという方法も選択肢の1つです。ワーキングホリデービザには、申請時点で原則30歳以下という年齢制限があります。転職と違い、使えるタイミングが限られている制度です。「知らないまま30歳を越えてしまうと、選べなくなる」という事実だけ、頭の片隅に置いておいてください。
情報を集めるだけであれば、留学エージェントへの無料相談が手軽です。「相談したら行かなければいけない」ということはありません。渡航資金の準備については下記の記事、留学エージェントの選び方については下記の記事をご覧ください。
ワーホリにいくら必要?資金調達と貯め方【所持金10ドルの失敗談】
※ワーホリの年齢条件は渡航先の国や制度変更によって異なります。最新情報は各国の公式サイトでご確認ください。渡航・退職の判断は個人の状況をもとにご判断ください。
まとめ

「人生やり直したい」という気持ちは、弱さでも異常でもありません。毎日の閉塞感が積み上がったとき、誰にでも生まれる、変化を求める自然なサインです。転職や学び直し、引っ越しなど、一般的な対処法にはそれぞれ意味があります。一方で、私は29歳のとき、4年間の公務員生活を辞めて環境を丸ごと変えるという選択をしました。
カラスのいない空を見上げたとき、「このままでいいのか」という問いを、少しだけ脇に置けたのです。所持金が10ドルになる経験もしましたが、帰国後に「辞めなければよかった」とは思いませんでした。環境を変えることで、自分の見え方が変わり、閉塞感との向き合い方が変わったからです。
やり直すために必要なのは、決断よりも先に、選択肢を知ることです。本記事をきっかけに、今の状況を見つめ直すヒントが見つかれば嬉しいです。関連する実体験については、下記の記事もあわせてご覧ください。
公務員を辞めて海外に出た話【ワーホリという選択肢が私を救った】


コメント