「公務員を辞めたい」と思いながら、誰にも言えない日々が続いていました。4年間、有給を1日も使わず、土日も出勤し続けた市役所を、私は29歳のときに辞めました。退職の理由は、ワーホリです。ネットで偶然知ったワーホリを知り、数日で決断したのです。年齢制限まで残り数か月というタイミングでした。
「無責任だ」と人事担当の上司に怒鳴られながらも、意思は変わりません。渡航後は、オーストラリアのファームで時給4ドルを下回り、メルボルンで所持金が10ドルになる経験をしました。ただし、追い込まれても「公務員を辞めなければよかった」とは思いませんでした。
本記事では、閉塞感を感じながら公務員を4年間続けた実態や、退職を決めた経緯についてお話します。渡航前に感じた3つの不安と私なりの答え、実際に海外に出てわかったことも解説します。公務員を辞めたいけど踏み出せないと感じている人は、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は私個人の2017〜2019年当時の体験と判断をもとに書いています。退職・渡航の判断は個人の状況によって異なりますので、最新情報は各公式サイトにてご確認ください。
有給ゼロで土日も出勤、地方公務員4年間の現実

地方公務員として働いた4年間について、下記の3点をお話しします。
- サービス残業と有給消化ゼロの職場環境
- 「安定」という言葉が生む見えない圧力
- 周囲には言えなかった本音
サービス残業と有給消化ゼロの職場環境
「公務員は安定している」という言葉を、何度聞いたかわかりません。しかし、実際の職場は外から見える姿とはかけ離れていました。私が勤めていた市役所では、サービス残業が当たり前の文化が根付いています。定時に帰ると周囲から白い目で見られる雰囲気がありました。土日の出勤も珍しくありません。
地域のイベントや行政手続きが重なる時期には、週7日続けて出勤することもありました。「働き続ければマシになる」と言い聞かせながら、4年間仕事をこなしたのです。在職中の4年間で、有給を1日も消化したことがありません。有休を申請するという発想自体、職場には存在しなかったのです。
制度として存在するのに、使えなかったのが、地方公務員としての現実でした。
※上記は私個人が在籍した職場の状況です。公務員の労働環境は自治体や部署によって異なります。
「安定」という言葉が生む見えない圧力

家族や友人から「公務員は安定してるね」と言われるたびに、胸に込み上げる感覚がありました。友人からの言葉は、善意から来るものだとわかっています。しかし私にとっては、「辞めてはいけない」という圧力として聞こえました。安定しているからこそ、辞めることへのハードルが上がります。
「安定」という言葉は、外側から見れば羨ましいものに映るかもしれません。しかし実際に内側にいると、次のような言葉が常に頭の中をぐるぐると回り続けていました。
- 辞めたら、みんながっかりするんじゃないか
- 転職したら、頑張らないといけない
- 公務員を捨てるなんて、もったいない
本音を誰にも話せないまま、表向きは「安定した職業の人間」として毎日を送っていたのです。今振り返ると、「安定」という言葉が足かせになっていたと感じます。外から見えている安定と、内側で感じている閉塞感のギャップが、4年間じわじわと積み上がっていきました。
周囲には言えなかった本音
「このままでよいのか」という疑問は、職場にいる間は心の奥にしまっていました。仕事仲間に話せば、「贅沢な悩みだ」と言われるのが目に見えていたからです。家族に話せば心配させますし、友人に話しても、状況が違いすぎて伝わりにくかったです。「定年まで同じ仕事を続けるのだろうか」という問いだけが、頭の中で繰り返されました。
仕事への不満というよりも、「自分の時間をどう使うか」という、根本的な問いかけでした。モヤモヤした気持ちを整理しようとして、ネット検索をし始めたことが、すべての始まりです。さまざまなYoutube動画を見ては、自分のことを振り返る毎日でした。
ネットで偶然知ったワーホリ、数日で退職を決めた理由

ワーホリを知ってから退職を決めるまでの経緯について、下記の3点をお話しします。
- 検索した夜に知ったワーホリ
- 29歳で知った年齢制限と残り時間の計算
- 退職時の周囲の反応
検索した夜に知ったワーホリ
仕事から帰ってスマートフォンを開き、「仕事辞めたい 公務員」といったキーワードを検索していました。転職情報のサイトをいくつか読んでいくうちに、ワーホリに関するページを見つけたのです。「海外で1年間、働きながら暮らせる制度」という説明を読んで、半信半疑でした。
しかし、実際に仕事を辞めてワーホリに行った人の体験談が目に入りました。自分と似た境遇の人がいると知ってから、さらにワーホリについて調べたのです。気付いたら2〜3時間、ワーホリに関する情報を読み続けました。転職情報を探しに行ったはずが、気づけばワーホリという選択肢を真剣に考えていたのです。
29歳で知った年齢制限と残り時間の計算

ワーホリを調べて驚いたのが、年齢制限でした。ワーホリは原則として、申請時30歳までという条件があります。当時の私はすでに29歳で、誕生日まで残り数か月というタイミングだったのです。「今すぐ動かなければ、ワーホリできなくなる」という事実に、私は悩みました。転職なら30代になってからでもできます。
でもワーホリだけは、残り時間が少なかったのです。数日間、仕事をしながら頭の中でシミュレーションを続けました。貯金はどれくらい必要で、手続きにどれくらいかかるか。帰国後の就職はどうなるか。「後悔しない選択はどちらか」だけを考え続けた末に、退職を決意したのです。
決断までにかかった時間は、ワーホリを知ってから数日でした。驚かれるかもしれませんが、4年間積み上がっていたものが一気に動き出した瞬間だったと感じています。
※ワーホリの年齢条件は渡航先の国や制度変更によって異なる場合があります。最新情報は各国の公式サイトにてご確認ください。
退職時の周囲の反応
退職の意思を伝えたときの周囲の反応は、それぞれ違うものでした。
| 関係者 | 反応 |
|---|---|
| 家族 | 心配したが、本気だと伝えると最終的に同意してくれた |
| 直属の上司 | 「まあ頑張れ」とあっさりした反応で、引き止めもなかった |
| 人事担当の上司 | 「無責任だ」と強く怒られた |
両親は当然のように心配したのを覚えています。「公務員を辞めてどうするのか」という言葉が続きました。しかし本気だと伝えると、最終的には同意してくれました。心配しながらも、背中を押してくれた家族の存在は、今でも感謝しています。直属の上司への報告は、拍子抜けするほどあっさりとしたものでした。
あっさりした反応が、職場との関係性を端的に表していた気がします。人事担当の上司には「無責任だ」と強く言われました。職場への影響を心配して怒ったのでしょうが、退職の意思は変わりませんでした。
辞める前に感じた3つの不安と、私が出した答え

退職前に感じた不安と、私なりの答えについて、下記の3点をお話しします。
- 「キャリアはどうなるのか」
- 「貯金が尽きたらどうするのか」
- 「海外で生きていけるのか」
「キャリアはどうなるのか」
公務員を辞めることへの最大の不安は、キャリアでした。「帰国後に職が見つかるのか」という問いが、何度も頭をよぎりました。私が出した答えは、「1〜2年のブランクは、伝え方次第で変えられる」というものです。根拠は薄かったと今では思います。
しかし、ワーホリに行けば英語力が上がり、帰国後の就職でプラスに評価されるのは事実です。実際に帰国後は10社以上に応募し、1か月で塾講師として採用が決まりました。メルボルンで所持金10ドルから立ち直った話が、面接官に「困難に立ち向かえる人材」と評価されたと感じています。
帰国後の就職活動の詳細は、下記の記事にまとめています。
ワーホリ帰国後の就職活動【ブランク期間をどう説明するか実体験】
※帰国後の就職状況は個人の経験やスキル、応募先によって異なります。本記事の内容はあくまで私個人の一例です。就職活動の判断はご自身の状況をもとにご検討ください。
「貯金が尽きたらどうするのか」

渡航前に貯めていた貯金は、100万円ほどでした。海外で生活できる期間として、十分なのか不十分なのか、当時の私には判断できません。「現地で働けなかったら」「病気になったら」という最悪のシナリオが何度も浮かびました。想定していた不安は、実際に現実になりました。
オーストラリアでファーム労働がうまくいかず、メルボルンで所持金が10ドルになった経験があります。所持金が尽きたときの恐怖は今でも覚えていますが、後悔はしませんでした。「貯金が尽きたらどうするか」という不安への答えは、渡航前には出ませんでした。
しかし、渡航前の自分に伝えるとすれば、渡航前に海外キャッシングを契約するようアドバイスします。ただし、完璧な備えをするよりも、素早く行動したことが支えになったのも事実です。所持金10ドルまで追い詰められた体験の詳細は、下記の記事にまとめています。
メルボルンで所持金10ドルにまで追い詰められた1か月サバイバル記録
「自分に海外で生きていけるのか」
英語力への不安も大きかったです。当時のTOEICのスコアは630点。「海外で働くには十分」とは言えないけれど、「全く話せない」わけでもない、中途半端なレベルでした。英語が不安だったため、私は語学学校に通うことにしたのです。留学エージェントに相談し、ニュージーランドの語学学校6週間とホームステイを手配しました。
語学学校で生活環境に慣れる期間を設けたことは、結果的に正解でした。仕事において英語が必要でしたが、語学学校に通ったおかげで最低限の適応ができたと感じています。留学エージェントの選び方については、下記の記事も参考にしてください。
実際に海外に出てわかったこと

渡航後にわかったことについて、下記の3点をお話しします。
- ワーホリを決断してよかった理由
- 追い詰められても後悔しなかった理由
- 公務員を辞めた経験が自分に与えたもの
ワーホリを決断してよかった理由
2017年7月にニュージーランドに到着してから数週間が経ったころ、ワーホリして良かったと感じました。語学学校で世界各国の人たちと会話するなかで、閉塞感に満ちていた公務員時代とは異なる時間を過ごしたのを覚えています。ヘイスティングスに移ってからは、ブルーベリー農園でのファームを始めました。
週5日働いて手取りで週500ドル程度。生活費を差し引いても貯金したのです。寿司レストランでのアルバイトもうまくいき、「やればできる」という感覚が積み上がりました。サービス残業と有給ゼロの公務員4年間とは、時間の使い方が明らかに違いました。ワーホリを決断して良かったなと実感しています。
※上記の収入は2017〜2018年当時の私個人の体験です。収入額は雇用主や時期、個人の労働量によって異なります。
追い詰められても後悔しなかった理由

オーストラリアに移ってから、状況は一変しました。ブリスベン周辺のファームでは時給が4ドルを下回り、廊下で寝かされるような劣悪な環境です。メルボルンに移ってからも仕事が見つからず、ついに所持金が10ドルになりました。ただし、「公務員を辞めなければよかった」とは思いません。
公務員を辞めるという決断が、私の選択だったからです。誰かに勧められて辞めたわけでも、追い詰められて辞めたわけでもありません。自分で情報を集め、自分で判断した結果として海外に出たのです。だからどんな結果になっても、誰かのせいにする気持ちが生まれなかったのだと思います。
所持金10ドルまで追い詰められた体験の詳細は、下記の記事にまとめています。
メルボルンで所持金10ドルにまで追い詰められた1か月サバイバル記録
公務員を辞めた経験が自分に与えたもの
帰国後は10社以上に応募しながら、1か月で塾講師として採用が決まりました。現在も塾の教室長として働いています。「公務員を辞めて後悔しているか」と聞かれれば、答えは「していない」です。ワーホリという選択をしたことで、「自分の人生を自分で動かせる」という感覚が戻ってきました。
ワーホリの経験が、仕事への向き合い方にも影響しています。帰国後の就職活動については、下記の記事に詳しくまとめています。
ワーホリ帰国後の就職活動【ブランク期間をどう説明するか実体験】
公務員を辞めたいけど、踏み出せないあなたへ

「辞めたいけど踏み出せない」と感じている人へ伝えたいことを、下記の3点にまとめました。
- 私が転職ではなくワーホリを選んだ理由
- ワーホリを選ぶ前に知っておくべき現実
- 後悔しない決断のために、今できること
私が転職ではなくワーホリを選んだ理由
転職という選択肢も当然考えました。でも当時の私には、「どこに転職するか」よりも先に「今の自分のまま転職していいのか」という問いがあったのです。同じ閉塞感を別の職場に持ち込むだけではないか、という不安です。ワーホリを選んだのは、日本の外に出ることで「何を大切にしているか」を考えたかったからでした。
転職先を探すより先に、自分が何を求めているかをはっきりさせたかったのです。2年ほど海外で生活して戻ってきたとき、仕事への向き合い方が変わっていました。「後悔はなかったか」という問いへの答えは、「なかった」です。ただし、転職が正解の人も、ワーホリが正解の人も、どちらもいると思います。
※退職や転職、ワーホリの判断は個人の状況によって異なります。本記事は私個人の体験を共有するものです。重要な決断はご自身の状況や信頼できる人への相談をもとにご判断ください。
ワーホリを選ぶ前に知っておくべき現実

ワーホリは夢のような選択肢ではありません。私が実際に体験した現実を先にお伝えしておきます。渡航前に知っておくべきことを整理すると、下記のとおりです。
- 現地の仕事は想定外のことが起きる
- 貯金は想定より早く減る
- 帰国後の就職活動には個人差がある
貯金の減り方は、渡航前に甘く見積もりがちな部分です。十分な貯金と海外キャッシングの準備は、渡航前に済ませておくことをおすすめします。クレジットカードの準備については、下記の記事で詳しく解説しています。
【2026年最新】ワーホリで使えるクレカ4選|海外キャッシング完全比較
※上記は2017〜2019年当時の私個人の体験です。現地の労働環境や生活費、就職活動の状況は時期や個人によって異なります。
後悔しない決断のために、今できること
「今すぐ辞めるかどうか」を決める必要はないと思っています。ただ、「ワーホリがあることを知っている」のと「知らないまま考える」では、見える選択肢の数が違います。今できることとして、私がおすすめするのは情報収集と相談です。ワーホリに関する情報は、留学エージェントに無料で相談できます。
私が利用した留学ドットコムでは、語学学校選びからホームステイまで、ワーホリ準備全般をサポートしてもらいました。留学エージェントを比較したい人は、下記の記事をご覧ください。
行動してみて「やっぱり今じゃない」と思えば、立ち止まれます。情報だけ集めてみることから始めるのが、後悔が生まれにくい動き方です。
※本記事は私個人の2017〜2019年当時の体験と判断をもとにしています。ワーホリ制度や留学エージェントの提供内容は変更される場合があります。退職や渡航に関わる重要な決断はご自身の責任においてご判断ください。
まとめ

公務員を辞めてワーホリを選んだことで、後悔したことはありません。ただし、後悔していない理由は、うまくいったからではありません。メルボルンで所持金が10ドルになった夜も、「自分で決めた」という事実だけが支えでした。私が転職ではなくワーホリを選んだのは、自分の価値観を確かめたかったからです。
帰国後に塾講師として採用が決まったのは、「困難に立ち向かえる人材」と評価してくれたからです。「辞めたい」という気持ちが本物かどうかは、情報を集めてみれば少しずつ見えてきます。ワーホリという選択肢を知っているだけで、考えられる幅は変わります。
留学エージェントへの無料相談や渡航前の資金、クレジットカードの準備から始めてみてください。

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